2023年4月、KENPOKU PROJECT E(茨城県北地域おこし協力隊)(以下、PROJECT E)として、着任した柴田大志(しばた・たいし)さん。
「SNSによる事業解決」をテーマに、茨城県常陸太田市を中心に活動されています。
今回はそんな柴田さんに、茨城県やSNSとの出会い、PROJECT Eとしての現在の活動内容についてなど、さまざまなお話を伺いました。
きっかけは、自分自身を変えてくれたメイクと出会ったこと
――柴田さんは現在「SNSによる事業解決」をテーマにPROJECT Eとして活動されていますが、柴田さんとSNSとの出会いについて教えてください。
もともと中学生のときに「面白そう」という理由で、動画編集やインターネット配信をしていたこともあり、SNS全般に興味はありました。
大きなきっかけは以前、雑誌広告に掲載するモデルのような仕事をしていたときのことです。仕事の都合上、メイクをしてもらう機会に恵まれました。ナチュラルメイクでしたが、メイク前後で劇的な変化を感じました。メイクのおかげで自信がついて、自己肯定感も高まったんです。
ですが、メイクをした姿を友人に見てもらった際、あまり良い反応は得られませんでした。きっとまだまだ男性がメイクをすることに対する違和感なのだと思います。
私は素直にこの状況を変えたかったのと、男性がメイクをすることを当たり前の世界にしていきたいと感じました。
いずれは男性用化粧品の開発や販売もしていきたいと思っていますが、まずは自ら「男性のためのメイク術」などを積極的にSNSで発信していくことが大事だと思い、本格的にSNS運用の勉強を始めました。
この投稿をInstagramで見る
メイクアカウント「たー メイクで武装する男⚔️」@mens_makeup1
――ご自身の経験によるものなんですね。SNSは世界中どこにいても発信できるものですが、茨城との出会いやPROJECT Eになろうと思った理由は何でしょうか。
PROJECT Eとして茨城に移住する前、偶然にも現在PROJECT Eとして活動するメンバーが運営しているシェアハウスで数年一緒に住んでいました。
ある日、シェアハウスで暮らすメンバーで構成されたメッセージグループに、PROJECT Eの募集情報が流れてきて「茨城でこんな働き方もできるんだ」と知りました。
それから気分転換くらいの気持ちで茨城を訪れたのですが、素敵な場所が多いと感じたのと同時に、SNSを上手く活用すれば間違いなくその魅力を伝えられますし、ビジネスにもつなげられると確信。
「SNSによる事業解決」をテーマにPROJECT Eに応募し採用されました。
大切なのは、思いが伝わるアカウントづくり
――PROJECT Eとして着任し一年が経ったと思いますが、現在はどんなSNSアカウントを運用されていますか。
私がPROJECT Eとして活動するきっかけをくれたPROJECT Eメンバーが暮らす村と宿泊施設を盛り上げるアカウントや茨城県内の農園、都内であれば美容室のアカウントなど、全部で8つほどのアカウントの運用を行っています。
――多くのアカウントを運用されているのですね。それぞれのアカウントを運用するにあたって、工夫されている点などはありますか。
どのクライアント様もSNSアカウントを運用したい理由を必ず持っているので、その理由や思いがきちんと第三者に伝わるアカウントづくりを意識しています。
また、SNSによっては24時間限定で投稿を流せる機能があります。実は、その機能を活用した投稿が一番他者に見られやすいのです。クライアント様と打ち合わせをする際は、意外と雑になりがちなその部分を「きちんと作り込んで○○さんの思いをSNSに掲載しましょう」と伝えています。
そのような工夫が結果として数字にも現れました。例えば、PROJECT Eメンバーのアカウントは、1か月でフォロワー数が1万人増加。SNSがきっかけで実際に宿泊しに来てくれた方もいます。また、県内の農園のアカウントも、1年間の運用で合計で3万人までフォロワーが増えました。
――それぞれの機能の特徴を活かした結果、きちんと数字に現れているのですね。柴田さんが多くのSNSアカウントを運用の支援をする中で、嬉しかったできごとはありますか。
投稿に対して「応援しています」などのコメントをもらえると嬉しいです。
つい先日、私がSNSアカウントの運用をしているPROJECT Eのメンバーと近所の中華料理屋にご飯を食べに行った際、お店の方から「SNSで発信されていますよね」と声を掛けられていました。
声を掛けてもらえるのは、きちんと地域の方に認識されている証拠。「運用を任せてもらえて良かった」と素直に嬉しいと感じたできごとでした。
地域と関わりながら茨城の魅力を伝えていきたい
――嬉しいエピソードですね。その一方で、SNSを運用する側である柴田さんは、なかなか地域の方と関わる機会が少ないイメージがあります。
おっしゃる通り、どうしてもクライアント様と1対1で話す時間が長くなるため、私自身は少ないのが現状です。
PROJECT Eとして活動して一年が経ち、初心に帰り「もっと茨城の魅力を伝えたい」という気持ちも高まってきたこともあって、つい最近「茨城を魅力度ランキング最下位から1位にする男」というアカウントを立ち上げました。
地域の方とのつながりが今年度の課題の一つでもあったので、関わりを増やしながら茨城の隠れたディープな魅力を掘り起こして、このアカウントで発信していけたらと思っています。
この投稿をInstagramで見る
――このアカウントが大きく成長すれば、茨城に興味を持ってくれる人も増えていきそうですね。
そうですね。このアカウントがきっかけで、茨城に興味を持って実際に訪れてくれる人が増えたら嬉しいです。
また今後は、他のアカウントとコラボレーションして発信したり、私自身がどこか物件を借りて例えばその物件でカフェをオープンしその様子を自らSNSで発信するなどして、さまざまな形で茨城の良さを伝えていけたらと思っています。
そのほかにも、SNSについての知見が深い人が少ない印象なので、イベントやセミナーなどに講師として登壇して「SNSを上手に活用し発信すればビジネスにつなげられる」ということを伝えていけたらと思っています。
屋号のように「成長し続ける自分」であるために
――柴田さんからは、現状に満足することなく次に進んでいこうという意欲が感じられます。
ありがとうございます。現状維持ではなく、常に成長していきたいと思っています。屋号の「GRANDIR(グランディール)」もフランス語で「成長」を意味します。現状に満足するのではなく成長し続けること、また、成長意欲が途切れないようにするためにもこの屋号を付けました。
――まさに柴田さんそのものを表している屋号ですね。これからも挑戦し続けていくと思いますが、改めて今後の夢やどんな事業展開を考えているのか教えてください。
SNSアカウント運用の支援を継続しながら、自分に対する自信にもつながった化粧品の製造・販売もしていけたらと思ってます。
派手な化粧品はあまり好みではないのもあって、自然に溶け込み且つ社会人でも使用できるものや使用する前後でその違いが分かるものを作りたいです。
男性用化粧品はかっこよさを打ち出したものが多いのですが、それよりも以前の私のように「自信をつけたいときに」といったコンセプトの化粧品がいいなと思っています。
大げさかもしれないですがその化粧品が「大事なときのお守り」のような存在であってほしいです。
――お話を伺いながら、SNSも化粧品も、柴田さんにとってなくてはならない存在だと思いました。
ありがとうございます。どちらも大切な存在ですね。振り返ってみるとこの一年、悩んだことの方が多く、クライアント様の意向を汲み取ってアカウントを運用する難しさも感じました。
GRANDIRは、まだまだこれからで成長の途中ですが、それでもここまで続けられたのは周りの方々の支えがあってこそです。これからもこの屋号のように成長し続けていきたいですね。
――柴田さんの更なる飛躍を期待しています。これからも頑張ってください!
Profile
柴田大志
三重県出身
KENPOKU PROJECT E(茨城県北地域おこし協力隊)
活動拠点:常陸太田市
屋号:GRANDIR
活動内容:あなたの事業の悩みをSNSで解決!
取材・文 谷部文香(茨城県北地域おこし協力隊マネジメント事業 広報担当)